in-her-no【2人台本 女2人】(百合)
in-her-no
いんへるの
紫苑
大人っぽい雰囲気の女子高生
柚葉に恋をしている
柚葉
かわいく元気な女子高生
空という同級生に恋をしている
紫苑:(M)ねぇ、貴女はなんで、そんなに綺麗なの。
柚葉:それでねー、こないだ空くんがさ!
紫苑:(M)教えて。
柚葉:んー?紫苑、聞いてる?
紫苑:……ふふっ、聞いてる聞いてる。
柚葉:えー、じゃああたし今なんていったー?
紫苑:空がデート中に、可愛いアクセ買ってくれたって話でしょ?
柚葉:おお、ほんとに聞いてた。そうなの!見て、このブレスレット!可愛くない!?
紫苑:うん、凄く可愛いね。緑と青が綺麗に混ざってるガラスのビーズ
柚葉:へへ、こういう色すごい好きなんだ!
紫苑:柚葉に似合ってて、いいと思う。
柚葉:ありがとー、紫苑!……あっ!あそこのカフェのケーキ、めちゃくちゃ美味しいって評判なんだよ!行かない?
紫苑:うん、行く。ちょうど甘いもの食べたかったの。
柚葉:やったっ!はやく行こー!
紫苑:(M)私の好きな子に、彼氏が出来た。
柚葉:あたしねー、チョコのやつがいい!
紫苑:私は、チーズケーキかな
柚葉:うわ、そっちもめちゃくちゃうまそう…!
紫苑:(M)ひたすらに明るくて、よく笑っていて、愛嬌があって、綺麗な女の子。
柚葉:んー!うまっ!!
紫苑:本当、美味しいね、ここのケーキ
柚葉:ねぇねぇねぇ、ひとくち交換しない?
紫苑:ん、いいよ。
柚葉:はい、あーん!
紫苑:あー…ん。
柚葉:んふふ、チーズケーキもうめぇや!
紫苑:(M)きっと私だって、それなりに仲は良い。きっと親友なんだと思う。
柚葉:あー、ここに空くんも居たらきっともっと楽しいのにな〜
紫苑:空はバイトでしょ。でも、残念だったね。休みの予定が合わないなんて。
柚葉:紫苑が居るからいーもんねーだ!
紫苑:ふふ、強がらなくてもいいのに。
柚葉:強がってまーせーん!
紫苑:(M)私は、それでも、やっぱり。
柚葉:……空くんに会いたいなぁ…。
紫苑:(M)貴女と恋人になりたかった。
0:(間)
紫苑:(タイトルコール)In-her-no(インヘルノ)
0:(間)
紫苑:(M)私と柚葉は、同じ美術系の高校に通っている。
柚葉:あー!!まーたねり消し家に忘れてきた!!
紫苑:また?懲りないね
柚葉:うう……家で素描の練習したらいつもこうだぁ…
紫苑:はい、ちょっと分けたげる。
柚葉:毎回ごめんんん、ありがとー!!神様仏様紫苑様!!
紫苑:でももう私の分の練り消しも少なくなっちゃったから、今度買い出し付き合ってよ?
柚葉:あったりまえじゃん!むしろあたしからついてくし!!
紫苑:(M)柚葉は、このとおり少し抜けているけれど、私の心を掴むには十分な魅力を持っている子だった。
柚葉:もうさ、二限目に体育とか超しんどいよね!一日中授業もあるのにさ、疲れ果てちゃうよ
紫苑:まあまあ、三限はデザイン演習だから。
柚葉:時間よたてー、いい具合に1時間だけたてーっ
紫苑:ほら、言ってないで更衣室行くよ
柚葉:いーやーだーっ!…って…
紫苑:ん?どうしたの?
柚葉:あ………
紫苑:(M)柚葉の視線の先には、クラスメイトの空が居た。
柚葉:なっ…んでもない!
紫苑:…そ?なら、さっさと着替えないと、また先生にどやされちゃうよ
柚葉:やっば!いそげぇぇ!!
紫苑:(M)親友の恋の予感というものは、大抵いいことの筈なのに、私の心は曇天のように濁っていた。
柚葉:あ!紫苑、それ色混ぜすぎじゃない!?
紫苑:え、あ……ほんとだ。
柚葉:あちゃー、やっちゃったね。でも、その色はその色で深みがあって素敵だから、別の部分の着色に使いなよ!
紫苑:うん、そうする。
柚葉:紫苑がミスっちゃうなんて珍しいね?なんか、あった?
紫苑:ん……何もないよ。私だってそういう時くらいあるよ。
柚葉:そお?ならいんだけどさー。なんかあったら、相談乗るからね!!
紫苑:(M)やっぱり、柚葉は綺麗な子だ。……私には、不釣り合いなくらいに。
0:(間)
柚葉:食べた後の掃除の時間って超だるー…ま、紫苑と喋れるからいっか!
紫苑:ねぇ、柚葉
柚葉:ん?なーに?
紫苑:柚葉って、好きな人居るの?
柚葉:え!?ちょ!ま、急に何、を
紫苑:分かりやすく動揺したね。
柚葉:そりゃあそんなこと言われたら動揺もしちゃいますよ!!
紫苑:で、好きな人居るの?居ないの?
柚葉:…………います。
紫苑:フフフッ
柚葉:聞いといて笑わないでよー!
紫苑:ごめんごめん、あまりにも想像通りの反応だったから、ついね
柚葉:もー!紫苑だから許すけどさぁ!
紫苑:それは、ありがたき幸せ。
柚葉:親友のよしみだぞ!まったく!
紫苑:で、誰が好きなの?
柚葉:それ、やっぱ聞いちゃうの…?
紫苑:うん。
柚葉:あー、うー…。
紫苑:教えて?
柚葉:……………空、くん。
紫苑:……あー……。
柚葉:なに、その反応!!
紫苑:知ってた。
柚葉:なんじゃそれ!?
紫苑:だって柚葉、体育の時とかずっと空の事見てたでしょ?
柚葉:ゲッ!なぜバレてる…!?
紫苑:みんな知ってるよ?バレてるって気づいてないの、柚葉だけ。
柚葉:そ、そうだったの…!!?
紫苑:(M)あーあ…って、思った。ほんとに、ほんの少しだけ、自分の名前が出る事を、期待しちゃったから。
柚葉:はっ!?て、ことはも、ももしや、空くんご本人にも!?
紫苑:うん。まんざらでもなさそうな反応してたよ?
柚葉:えっ…!ま、マジ……で…?
紫苑:(M)なに、その顔。
柚葉:そっ…かぁ……。
紫苑:(M)そんな顔、今まで一度も見せた事なかったじゃん。
0:(間)
紫苑:(M)自分の感情があまりにも汚くて、嫌になる。
紫苑:(M)恋を応援なんて出来るわけが無いのに、自分の気持ちに嘘をついて、優しいだけの上辺の言葉を吐く。
紫苑:『嫌だ』
紫苑:(M)もう私の恋は叶わない
紫苑:『やめて』
紫苑:(M)柚葉の、恋人には、なれない。
紫苑:『あ、あ、あ、ああぁぁあ……ッ』
紫苑:『なんで、なんで、なんでアイツなの』
紫苑:『私のほうがずっとずっと柚葉の事を愛してるのに』
紫苑:『柚葉、柚葉、愛してる。愛してるの。』
紫苑:『あんな奴を好きにならないでよ!』
紫苑:『私の事だけを見ていてよ!!』
柚葉:紫苑?
紫苑:……あ、ごめん、ぼーっとしてた、かも。
柚葉:ちょっとちょっとしっかりしてー!あたし人生初告白で、テンパリまくってるから!紫苑だけが頼りなの…!!
紫苑:……。
紫苑:『いかないで…。』
紫苑:大丈夫。柚葉可愛いから、告白もOK貰えるって。
柚葉:うー……じ、じゃあ、行ってくるっ!
紫苑:うん、頑張って。いってらっしゃい。
柚葉:ね、ねぇ、紫苑!
紫苑:ん?
柚葉:応援してくれて、ありがと!大好きだっ!!
紫苑:……うん。私も。大好き、だよ。
紫苑:(M)パリン、と音を立てて、私の中の何かが壊れた。
紫苑:『大好き…。』
紫苑:(M)世界一綺麗で、世界一残酷な言葉だ。
紫苑:(M)ねぇ、貴女はどうしてそんなに綺麗なの?
紫苑:(M)私はこんなにも、汚れているのに。
0:(間)
柚葉:あー、遊んだ遊んだ!楽しかったー!
紫苑:そうだね、画材とか服とかも色々買えたね。
柚葉:ねり消しも買えたし!
紫苑:ふふ、でもどうせまた忘れそう
柚葉:あたしもそう思う!!
紫苑:フフッ
柚葉:ねえ、今度の休みこそさ!空くん誘って3人で遊ぼうよ!?
紫苑:わかったわかった。
柚葉:紫苑……あの、あのねっ!
紫苑:ん?
柚葉:あたし、空くんや紫苑と一緒に居られて、毎日すっごい幸せなんだ!まるで天国にいるみたい!パラダイスっ!
紫苑:……そっか。
柚葉:これからもずっと、親友でいようね!
紫苑:『…嫌……嫌なの、親友は嫌だ。もっと先の、間柄になりたいの。』
紫苑:勿論、だよ。ずっと親友。
柚葉:へへ……あ、うわ、綺麗な夕焼けだ!
紫苑:ほんと、綺麗、だけど…少し変わってる色ね。青い空と赤い夕焼けが混ざってる。
柚葉:紫みたいな色だ…!あたしこの色大好き!
紫苑:そうなの?
柚葉:なんか、紫苑みたいだから!
紫苑:ふふっ……なにそれ。
柚葉:だって、紫苑って凄い綺麗じゃん!?
紫苑:え…?
柚葉:なんていうかー、姿も勿論綺麗なんだけど、心が!っていうか
紫苑:……ッ
柚葉:紫苑?
紫苑:……柚葉のほうが、私よりずっとずっと綺麗だよ。
柚葉:えっ!そんなことないってー!!あはは!
紫苑:(M)きっとこれは、罰なんだと思う。
紫苑:(M)こんなに汚い私が、こんなに綺麗な貴女を好きになった罰。
紫苑:(M)苦しい。苦しくて、苦しくて、たまらない。
紫苑:(M)なのに、離れることすら出来ない。
紫苑:(M)あまりにも優しくて、甘い、地獄。
紫苑:(M)貴女の中に、私は居ないんだ。
柚葉:帰ろっか、紫苑!また今度も遊ぼ!
紫苑:うん……柚葉。
紫苑:『私は、それでも、ずっと。柚葉を愛してるよ。』
密秘の恋【3人台本 男1 女2】(R15 百合)
蜜秘の恋
檉柳 蓮
ぎょりゅう れん
看護婦
深山
病院の院長
黒戸 蜜華
くろと みつか
入院中の女子高生
0:深夜0時。院長室に、水音が響いている。
蓮:ン、……ぁ、…ンっ、……ん。
深山:…蓮……。
蓮:……院長……もう、……ダメ、です、これ以上は……ッ
深山:……蓮。こちらを、向きなさい。
蓮:……ハ、ぁ…ッ
深山:……ん、む。
0:深山、蓮に口付ける。
蓮:ン、……ん、ん……ッ
深山:……ご覧。こんなに、濡れそぼって。気持ちが、良いのだろう?
蓮:……ッ……ふ
深山:……素敵だよ。蓮。
蓮:……厭……、厭、ぁ、ぁッ……。
0:1時間後
深山:今日も、善かったぞ。蓮。
蓮:……あの。次の、人事なんですが。
深山:わかっているよ。副医院長になれるように、私から推薦しておくとも。
0:蓮、衣服を綺麗に直しながら。
蓮:……有難う、御座います。
深山:ただ、本格的な人事は会議で決めるからねぇ。どうなるかは他の医師の話も聞かないといけないからな。
蓮:!それでは困ります。
深山:困ると言われてもねぇ。こればかりは仕方ない事だよ。ただ……。
蓮:……ッ
0:深山、蓮の肩を持ち
深山:君の頑張り次第、なんじゃないかな。
蓮:……次は、何時、伺えば。
深山:明後日、また同じ時間に。
蓮:……分かりました。
0:蓮、悔しそうな表情で足早に院長室から出て、シャワー室へ向かうと、待ち構えたように蜜華が立っている。
蓮:………ッ!
蜜華:フフ。先生。また悪いコト、話してた?
蓮:……悪い事をしてるのは貴女でしょう、黒戸さん。今何時だと思って
蜜華:……ン。
0:蜜華、遮るように蓮に口付ける。
蓮:ン……ッ!
蜜華:そういうのいいから。もう二人きりだし。
蓮:……黒戸、さん
蜜華:蜜華って……呼んでよ、蓮。
0:シャワーを流しながら、二人は会話をする。
蓮:ん、ン、……ッは。
蜜華:んー……男の人の匂いがする。
蓮:ぁ、やだ、そこ、は……ッ
蜜華:ドロドロしてて、汚いね。
蓮:……ぁ、あ、ぁぁッ……
蜜華:此処、綺麗にしなくちゃ、ね?
蓮:ん、んぅ、は、……ッ
蜜華:ね、蓮。気持ちいい?
蓮:……ッ……!
蜜華:フフ。恥ずかしくて、言えない?顔、真っ赤。
蓮:……蜜華、お願い……もう……ッ
蜜華:だぁめ。
蓮:あっ!……ぁ、あ……ッ
蜜華:ちゃんと、言って?蓮の口から聴きたい。気持ちいい、って。
蓮:………きもち……いい……。
蜜華:……ふふ。やった。気持ちいいって、思ってくれた。
蓮:……ぅ……
蜜華:蓮、カワイイ。すごい好き。
蓮:……私は……べつに、そんな
蜜華:あー、そういう事言っちゃうんだ。
蓮:ぇ、あ、く、ああぁ……ッ!?
蜜華:……いじわる言ったから、仕返し。
蓮:……っ、あ、ン、ぁあ……!
蜜華:ねえ、キスしたい。
蓮:はぁ、ふ……ッ
蜜華:……キスしてる間も、たくさんいじめてあげるから。いっぱい気持ちよくなって。
蓮:……み、つか
蜜華:ん……?なに?
蓮:……好、き。
蜜華:…ズルいよ、それ
蓮:あ、ふ、ぁあぁ…ッ!
蜜華:…もっと意地悪したくなっちゃったじゃん。
0:数日後の昼間、蜜華の病室をノックする蓮。
蓮:失礼します。……投薬の時間ですよ、黒戸さん。
蜜華:んー。
0:蜜華、置かれた薬を飲み、またベッドに横たわり
蜜華:……あーあ。つまんないなー。
蓮:談話室に、テレビでも見に行ったら?
蜜華:いまの時間のテレビつまんないもん。
蓮:わがまま言わないの。
蜜華:はぁーあ。しんじゃおっかなー。
蓮:駄目よ、黒戸さん。もう少ししたら、薬で楽になるから。
蜜華:リボトリール、パキシル、ハルシオン。薬で気分を変えるなんてさ、なんか悪いコトしてるみたいだよね。
蓮:……。
蜜華:……ね。
蓮:何…?
蜜華:エッチしたい。
蓮:な…!?駄目に決まってるでしょ…!?
蜜華:えー、駄目?
蓮:駄目です。絶対。
蜜華:けち。
蓮:けちでいいです。
蜜華:んじゃー、キスだけ。キスだけしたい。
蓮:………ッ、それもだめ。
蜜華:あ、いまちょっと悩んだ
蓮:悩んでません!
蜜華:ねぇねぇ、キスだけ。お願い。
蓮:……少し、だけよ。
蜜華:やったっ。へへ。
蓮:……っ
蜜華:じゃーはやく。ちゅー。
蓮:………んっ
0:蓮、蜜華のおでこに軽く口付け
蜜華:……あは。なにこれ。
蓮:はいっ、終わり!!これでいいでしょ?
0:すぐさま離れようとする蓮の腕を、ぱしりと蜜華が掴む。
蓮:!
蜜華:……いいわけねェだろ。(意地悪く笑いながら)
0:蜜華、蓮に深く口付ける。
蜜華:ン。……ん
蓮:ぁ、…ン、んは……
蜜華:……ん、く
蓮:ん……ッ!っも、もう、終わりッ
蜜華:んー……。ものたりなーい。
蓮:……せめて、夜にしなさいよ…ッ
蜜華:夜ならいいんだ?へーえ
蓮:ち、違…!
0:病室をノックする音
深山:失礼してもいいかな?
蓮:!!
蜜華:…どうぞー?
深山:やあ、こんにちは。なんだか賑やかだと思ったら、檉柳君とお喋りしてたんだね。
蓮:は、はい。投薬の時間で……
深山:いやいや、いいんだよ。うつ病に1番よく効くのは、そうやって笑える、楽しいことだからねぇ
蜜華:で、なんの用なんですか?
深山:ああいや、次の仕事について、檉柳君の方を探していたんだよ。少し、いいかな?
蓮:……は、……はい。
0:病室を離れる蓮と深山。
蜜華:…………エロ狸親父。
0:数秒間。院長室。肌を揉まれている蓮。
深山:…人事の会議、来週に決まったよ。
蓮:ぁ、ン。……っはい……。
深山:楽しみだねぇ…
蓮:はい、……ッ
深山:柔らかいね、君の肌。
蓮:……くッ……い、や……
深山:なんだ、嫌がるのか?…蓮
蓮:ッ………気持ち、いい、です。……もっと、…してください……。
深山:ああ、いいとも。君が望むのならね。
蓮:……もっと、……っ
0:回想
蓮:もっと、勉強したら、お医者さんになれるかな。お母さんを、救えるような。
0:塾帰り、自殺している母を発見する蓮
蓮:…………あ…
0:回想終
深山:それじゃあ、檉柳くん。また。
蓮:……はい。
0:思い出した哀しみを抱え、ふらりと院長室から出てくる蓮。そして対峙する蜜華。
蓮:……こんなはずじゃなかったの。こんな……
蜜華:蓮。
蓮:……くろ…………蜜華…。
蜜華:真昼間からペッティング?ほんと最低だよね
蓮:……ッ
蜜華:……話、聞くよ、先生。
0:蜜華の病室
蓮:……私、母が自殺しているの。うつ病で。
蜜華:ふーん。
蓮:父は、物心ついた時から居なくて。元々、うつ病だった母を助けたくて、医学の勉強をしていたの。……でも。
蜜華:そうなんだ
蓮:私の知らないところで、保険をかけていてくれて。それで私、ここまでやってこれたの。
蜜華:……それで、今の病院に来たんだね
蓮:ええ。最初は、看護婦としてね。凄く嬉しくて。患者さんの為に沢山働いたわ。だけど……
0:回想
深山:暴れるような面倒な客は都市部に任せているし、ここの客は軽度の人間で固めているから、あとはベッドで薬を飲ませ寝かせるだけの楽な商売だ。薬を調整すれば、治りきらせること無く、無限に金を搾り取れる。どうせ本格的に働くのは私ではないしな。
蓮:………なんて……惨い事を……
0:回想終
蜜華:サイテー。
蓮:……私は、ちゃんと、うつ病の人たちを救ってあげたいと思っているの。だから、……
蜜華:あのエロジジイに身体売ってるんだ
蓮:……この方法しか、見つからなかった。吐くような思いをしても、少しづつでも、この病院を変えられるようになるまで……。
蜜華:……それに、だって蓮、レズだしね。超嫌な思いしてんじゃん。
蓮:……来週、人事の会議があるの。きっとそこで、私が副院長になれれば、少しは……
蜜華:……あのさ。
蓮:何…?
蜜華:あの院長が、簡単に先生を副院長になんてすると思う?
蓮:…どういう、こと
蜜華:あたし、聞いたんだよ。…あいつの電話。
0:深山の電話
深山:いやぁ、いい思いをさせて貰ってるよ。やはり若い娘はいい。人事?ああ、適当に昇格しといてやればいいだろう。副院長は貴方だけだ。心配する必要は無い。
0:終
蓮:………そんな
蜜華:……
蓮:……でも、しょうがなかったのかも。もう、決まってたのね。きっと。
蜜華:先生
蓮:……ッ
蜜華:先生が拾ってくれたからさ。あたし、ここまで生きてこれたんだ。
蓮:……私、……
蜜華:……蓮の事、愛せて、嬉しかった。
蓮:……蜜華……?
蜜華:……おいで
蓮:……うっ、……あ、ぁ……わたし、わたし……
蜜華:うん、うん。頑張ったね。
蓮:……っ…く
蜜華:……このまま、愛させて。
蓮:……うん……。
0:病室のベッドで、2人重なり合う
蓮:……あ、…ッん…
蜜華:……蓮の匂い好き。いいにおい。
蓮:……はッ…ァ
蜜華:好きな人って、どうしてこんなにいい匂いなんだろね
蓮:……ふぅ、ぅ。
蜜華:…悪い先生たちに、あたしは生かされてるから
蓮:ぁ、んん、そこ、だめッ
蜜華:ここ、だめ?じゃあもっとしてあげる。
蓮:ぁ、あ、ぁあッ……!
蜜華:あたしの中で、狂っちゃってよ。
0:数秒空け、数日後。
蓮:……病院の近くに、雀蜂の巣があったなんて気付かなかった。
蜜華:そうだよね…怖いよね。でも、もう駆除したんでしょ?
蓮:ええ、でも……。
蜜華:ん、どしたの?
蓮:…せっかく、副院長になれたのはいいけれど、これでは、なんだか……
蜜華:え?それはそれでいいことじゃん。おめでと、先生
蓮:……うん。
蜜華:きっと、神様ってのがいたんだよ。見てくれてたんだよ。蓮の頑張り。
蓮:そう、なのかしら……
蜜華:そうそう。……もうさ、蓮の事愛するの、あたしだけ、だよ?
蓮:……蜜華
蜜華:優しく、ゆっくりさ。このまま愛したいよ。蓮のコト
蓮:……私も、蜜華に、なら。愛されたい。愛し、たい。
蜜華:うん
蓮:こんな……悪い先生だけど、愛してくれるの?
蜜華:…当たり前じゃん。
蓮:……あ…
蜜華:愛してる。蓮。
蓮:……愛してる。……蜜華。
0:数秒空けて、その、数日前。深夜、病院の裏口から出る深山
深山:今月の収支も例年通り。本当に上手く行っているな。檉柳君の事も…ククッ
0:1匹の雀蜂が、深山の足元をふらついている
深山:ん、なんだ……蜂か。
0:ぐしゃり、と雀蜂を革靴で踏み潰す深山
深山:ふん。蜂の巣でもあるのか…?駆除しておかなければな。
0:そう言いかけた深山へ、どこからか大量の雀蜂が襲い掛かる。
深山:……!なん、だ…!?
0:1匹、また1匹と、雀蜂が深山に攻撃する。
深山:あ、あ、ああぁああああぁぁああああぁあッッ!!
0:その姿を、病院の屋上から静かに見つめる蜜華
蜜華:………ふ
0:鼻で笑う蜜華。
蜜華:………未必の故意なんて、ないからね。
人魚【4人台本 男2・女2】
人魚
翔太
水泳部のマネージャー
幸薄系男子
美鈴に恋をしている
美鈴
水泳部のエース
元気めな女の子
翔太のことが気になっている
莉奈
美鈴の友達
ギャル
斉藤・先生
兼ね役です
水泳部の先生と、国語の先生と、病院の先生
翔太(M):うちの学校のプールには、人魚が棲んでいる。
斎藤:位置について……用意……!
翔太(M):遊泳開始のホイッスルが鳴る。クロールが得意なその人魚は、一度の蹴伸びだけで、25メートルプールの真ん中くらいまでスイスイとヒレのように脚を揺らし、進む。その後、脚をバタバタと動かして、クロールを始めた。
美鈴:……はぁッ……はぁッ……。
翔太(M):僕は泳げない。でも、人魚が泳ぐところを見ていたくて、この水泳部のマネージャーになる事にした。
翔太:……15.09秒。
斎藤:おお……!美鈴!今日もいい泳ぎだな。もう少しで自己ベスト更新じゃないか?
美鈴:あはは…そうですね、でも、自己ベストまでまだ0.5秒も縮めなきゃいけないから。
斎藤:素晴らしい心意気だ。お前は間違いなくこの水泳部のエースだ!頼むぞ!
美鈴:はい!
翔太(M):人魚が、陽の光に当たる。微笑む。そんな様を、僕は日陰に設置された椅子から、眺めていた。
美鈴:じゃあ、クロール200メートル、行きます
斎藤:よし、行ってこい!
翔太(M):また、人魚がプールに戻っていく。キラキラと輝く水の中を、気持ち良さそうに泳ぐ様は、観ている僕の心をまさに潤した。
翔太:僕は、美鈴ちゃんの事が好きだ。
0:美鈴の教室、昼休み
美鈴:はぁ〜あ……
莉奈:どうしたの、美鈴。元気ないね?
美鈴:莉奈……はぁぁ……。
莉奈:わっざとらしいため息。話聞くよ
美鈴:……あのね……その
莉奈:うん?
美鈴:……恋を、していて、その。
莉奈:ぶはっ(笑いを吹き出す)
美鈴:ちょっ
莉奈:あっはははは!美鈴が!?恋!!あははは!!
美鈴:笑うとこじゃないでしょ〜!?もー……。
莉奈:いやー……あはは、悪い悪い
美鈴:恋煩ってる親友のこと笑うかねフツー…
莉奈:んで、それで?誰なのよ、相手
美鈴:笑ったから言わなーい
莉奈:美鈴様ァ〜、ジュース奢るから〜!!ね、ね、誰?
美鈴:……水泳部の、マネージャーやってる、翔太くん。
莉奈:あ〜……そんな奴居たねぇ
美鈴:じつは、そんなに話した事もないんだけど……普通にかっこいいし、なんていうか……私の事、応援してくれてるって、伝わるんだよね
莉奈:なるほどねぇ
美鈴:でもね、その、……きっかけがなくって!喋れなくて……
莉奈:きっかけか〜……。
美鈴:うーん……。
莉奈:……あ!わかった。そういえばさ、来月、水泳の大会あるでしょ?
美鈴:う、うん。あるけど
莉奈:翔太くんのために頑張るね!とか、話しかけるのよ!
美鈴:お、おお……。
莉奈:そんでさ、なんかこう、大会でいい成績だしてさ!付き合って下さい!みたいな!
美鈴:莉奈にしてはわりといい意見な気がする……
莉奈:親友の初恋でしょ?そりゃ応援しますとも
美鈴:そう?まあ、普通に嬉しい。
莉奈:そうでしょー、あはは
美鈴:じゃあ、応援の手始めにジュースを奢ってもらいますか!
莉奈:ちっ……覚えてたか。
0:授業中
先生:で、この八尾比丘尼(やおびくに)の伝説が、人魚の肉を喰らうと不老不死になるっていうやつの起源なんだ。そういうゲームとか漫画とか、結構あるだろ?ここ、テストに出したり出さなかったりするぞ
美鈴:……。
美鈴(M):あ、翔太くんのクラス、サッカーか。……でも翔太くんは…見学。翔太くん、いつもなんていうか、元気ないよなぁ……。
先生:こら、美鈴!話聞いてるのか
美鈴:あっ!?す、すみません……。
莉奈:なにやってんの、美鈴…あはは
0:水泳部活動終了後
美鈴:……はぁあぁぁ……
莉奈(M):いい、絶対話しかけるのよ!少しくらい仲良くなっとかないと!
美鈴:そう言ったってなぁ……
翔太:お疲れ様でした。……お疲れ様でした。(淡々と皆に挨拶)
美鈴:うわ、来た……っ
翔太:……お疲れ様でした。
美鈴:お、お疲れ様……
翔太:……(そのまま去ろうとする)
美鈴:あ、ま、待って!
翔太:……え?
美鈴:あ、えっと、……翔太くんも、本当にお疲れ様。
翔太:……僕は、何も
美鈴:あのね、翔太くんのサポート、いつも助かってる。ありがとう。今度の大会も、が、頑張る、から!
翔太:……頑張って(少し微笑みながら)
美鈴:……うん!
美鈴(M):翔太くんは笑ってくれて、私も笑っていた。少し半信半疑だった私の恋心は、確信したものに変わった。
0:水泳部
翔太:……15.06秒
斎藤:おお!美鈴!どんどん早くなっていってるな!
美鈴:えへへ、まあ、大会もありますから
翔太:……。
美鈴:あ……翔太くん……
0:美鈴、翔太に手を降る。翔太も、手を振り返す。
翔太:……。
美鈴:……ッ、クロール400メートル、行きまーすっ!
斎藤:おお、やる気だな!行ってこい!
翔太(M):……人魚は、僕の方を向いた。ただ深海にひっそりと佇む、名もないクラゲのような僕に、笑いかけた。
翔太:……
翔太(M):希望が見えた。それが僕の物でないとしても、たしかにそれは、希望だったんだ。
0:病院
先生:余命は……1ヶ月です。
翔太:……そうですか。
先生:すみません。手は、尽くしたのですが
翔太:……。
先生:せめて、残りの人生を、楽しくお過ごし下さい。
翔太:……はい。
翔太(M):自分がもうじき死ぬ、ということはわかっていた。だから、余命宣告を受けた時も、それほど悲しいとは思わなかった。
翔太:……思わなかったのに
美鈴(M):『翔太くん!今日も自己ベストに近付いたよ!』『いつも助かってるよ、ありがとう、翔太くん』『ねえ、翔太くん。翔太くんは、なんで泳がないの?』
翔太:……ッ
翔太(M):僕は、少しだけ水泳部のマネージャーになったことを後悔した。だって
翔太:……しにたくない……。
0:空き教室
莉奈:いやぁ、悪いね、呼びつけて
翔太:……どうしたの?なんで僕を?
莉奈:いや……あのさ、うちの親、看護師なんだよね
翔太:それで
莉奈:よく、翔太くんのこと見かける〜って、言ってたんだよね。……ホスピスで、って。
翔太:そう
莉奈:もしかして、さ。もしかしなくても……病気だよね?
翔太:それが、君に何の関係があるの?
莉奈:か……関係あるよ!同じ学校の生徒じゃん!そ、それに……ッ!
翔太:お願いだから、黙っていてくれないか。
莉奈:……っ
翔太:ちゃんと、自分の口から、伝えるから。
0:放課後、2人きりの教室。
美鈴:……ねぇ、翔太くん
翔太:……なに?
美鈴:あの……さ、来週さ、大会じゃん。
翔太:うん
美鈴:あの
翔太:……なぁに?
美鈴:……っ…わたし、頑張るから!優勝する!だから、優勝出来たら、その……私と、付き合って欲しいの……!
翔太:……!
美鈴:……ッ
美鈴(M):言った…!告白、した…!
翔太:……ごめん
美鈴:……あっ……
翔太:……実は……実は、僕、癌なんだ
美鈴:……え…?
翔太:もうすぐ、僕は、死ぬんだよ
美鈴:……そ、…んな
翔太:だから……ごめん
美鈴:急に、言われても、そんなの、…わかんないよ
翔太:……ごめん
美鈴:……死んじゃうの?
翔太:……あのね、美鈴ちゃん。僕もね、ずっと、美鈴ちゃんの事、好きだった。
美鈴:……!
翔太:自由にプールで泳ぐところを見ていたらさ。まるで人魚だなって思った。キラキラ光るプールを、自由に泳ぐ、人魚だって
美鈴:……あっ……ぁ……(ぽろぽろと泣き出す)
翔太:君の事を、見ていたくて、マネージャーになったんだ。本当だよ。
美鈴:……うあ、ぁ、あッ…あっ…あぁ…
翔太:だから、僕に、恋をしてくれて、嬉しかった。……本当に、嬉しかった。
美鈴:……嫌だ、いやだ、…ッ…嫌だよ……
翔太:……ごめんね、泣かせてしまって。
美鈴:……ッ…あたし…人魚…?
翔太:…うん。僕にとっては、とても素敵な、人魚だ。
美鈴:……ッじゃあ!
0:カッターナイフを取り出す美鈴
翔太:…ッ美鈴ちゃん…!?
美鈴:あ、あたしの、肉、……食べてよ、…ッ人魚の肉…!!そしたら、不老不死になる、って……言うじゃんか!!
翔太:……美鈴ちゃん…!
美鈴:翔太くんにならいいから、だから、だから……ッ……あぁ、あぁあぁぁ……ッ(泣き崩れる)
翔太:美鈴ちゃん……
美鈴:……ッ、ひく……
翔太:……こっち、向いて
美鈴:……なに……
0:接吻を交わす二人
美鈴:……あ…………。
翔太:柄にもない事を、言うけれど
美鈴:……うん
翔太:……今、すごく、幸せだと思ったんだ。だから、いっそ…
翔太(M):いっそ、このまま……泡になって消えてしまえたらいいのに。
0:大会当日
斎藤:位置について……用意……!
美鈴(M):遊泳開始のホイッスルが鳴る。一度の蹴伸びで足をゆらゆらとさせながら真ん中ほどを超えると、浮上し、クロールを始めた。
莉奈:おお!!15.02秒!!新記録じゃん!!
斎藤:やったな!!美鈴!!一位だぞ!!
美鈴:…はい!頑張りました!!
莉奈:美鈴〜!!今日はお祝いだね!!
美鈴:うん……そうだね!
莉奈:……あ…でも
美鈴:いいんだよ、莉奈
0:観客席を見つめる美鈴
美鈴:……観ててくれたかな。
莉奈:美鈴?
美鈴:ううん……なんでもない!
0:見上げると、青すぎる空が広がっている……
3.14159【3人台本 男2・女1】(R15)
3.14159
ハチ
おどおどしていて弱気な男
ミサキちゃんのことがすき
ルート
ヤンキーな危険な男
ミサキちゃんのことがすき
ミサキちゃん
優しく清らかでかわいい女の子
最近彼氏ができました
:雨の日、23時。車内には、ノイズのかかったラジオが流れている。
ハチ:「……なぁ」
ルート:「ん?なんだよ」
ハチ:「…や、やっぱり、やめよう、よ」
ルート:「え?なんで?」
ハチ:「よく、ないよ、こんな、こと」
ルート:「好きな女レイプしにいくこと?」
ハチ:「な、な、なに、言ってるんだよ!?」
ルート:「お前が言い出したんだろうが!ミサキちゃんとエッチした〜いっつってたじゃん」
ハチ:「お、俺がしたいって言ったのは、そんな邪なものじゃないんだよ!!」
ルート:「なにそれ あほらし」
ハチ:「ルートにはわかんないよ……」
ルート:「はいはい、と言いつつこの車は、ハチ運転の元、夜23時に雨の中、中島ミサキちゃんの家に向かっておりま〜す foo」
ハチ:「ただ会いに行くだけだよ!」
ルート「俺も居るんだからさァ もっと楽しい夜を過ごそうぜ?」
ハチ:「やだよ、そんなの」
ルート:「そんな事ないだろ?ヤリたいはずだね」
ハチ:「…いいかげんにして、ルート。そろそろ怒るよ」
ルート:「お、なんだよヤるか?」
ハチ:「そもそも君には、ミサキちゃんには会わせない」
ルート:「はぁ!?なんだそれ!!」
ハチ:「ミサキちゃんは、すっごく優しくて、…素敵な子なんだ」
:
ハチ:『いっ……てて……ッ』
ミサキ:『ハチくん!…ケガしてる…大丈夫?』
ハチ:『だ、大丈夫だよ、ミサキ…ちゃん』
ミサキ:『絆創膏、あるから……貼ってあげるね』
ハチ:『ミサキ…ちゃん…』
:
ルート:「はいはい甘酸っぱい甘酸っぱい!レモンティーの味〜ってか?」
ハチ「茶化すなよ、ルート…だから、お前みたいなのは会わせない」
ルート:「やっだね〜!絶対会う〜」
ハチ:「……本当に、やめてくれよ。…あの子は、とってもとっても、素敵な子なんだ…」
:
ミサキ:『……ハチくん、いつも、1人だね?』
ハチ:『あ…ミサキ、ちゃん…あ、あはは、俺、友達、居ない、から…』
ミサキ:『ふぅん。…じゃあ、私が友達になってあげる!』
ハチ:『え……』
ミサキ:『……おともだち。ふふふっ』
:
ルート「んで、結局友達止まりなのな。」
ハチ:「…だから、こうしてミサキちゃん家に行って、遊ぼうとしてるんじゃんか」
ルート「こんな雨の日に?夜に?アホかよ」
ハチ「……それは…」
ルート「…なぁ。そろそろ正直になれよ、ハチ」
ハチ「…………」
:
ハチ:『……あっ、み、ミサキ…ちゃ…』
ミサキ:『え?彼氏?うん、まあ…いるよ』
ハチ『……!!』
ミサキ:『ちょっと、あんまり聞かないでよー!恥ずかしいんだから……』
ハチ:『……そう、だよな。やっ…ぱり。』
:
ハチ「………」
ルート:「はい、ミサキちゃん家に着いたっと。えーと………あ、あったあった」
ハチ「…!!何してるんだ」
ルート:「え?スタンガン持ってるだけだけど?」(バチバチ言わせる)
ハチ:「……ルート……お前…!!」
ルート:「なぁ、ハチ。……本当はわかってるんだろ?お前のヤりたいことをさァ」
ハチ:「…そんな、そんなひどいこと、させないぞ、…ルート…!」
ルート:「させない?アッハハハ!ここまで俺を連れて来といてよく言うぜ」
ハチ:「お前の言うことになんか、絶対に従わない!!」
ルート:「うるせぇよ!!元はと言やぁ、お前が俺を呼んだんだろ!?」
ハチ:「……ッ、違う…!」
ルート:「何も違わねぇ!!じゃあどうして俺が此処に居るんだよ!?」
ハチ:「……ッ……ルート…!!」
ルート:「わーった、わーったよ、ハチ……最初ッから、こうすりゃ良かったなァ!!(ハチを殴る)」
ハチ:「ッが……ぁ!!」
ルート:「ハチ!!テメェは一人で愛しのミサキちゃんの事でも考えながらセンズリこいてろよ!アハハハハハハハ!!」
ハチ:「……やめ……ろ……ルート………ぁあ……」
:
:雨の中、スタンガンを持ったハチは、車内を飛び出していく。
:車の中には、誰も居ない。ノイズのかかったラジオだけが、流れている。
:
:ピーンポーン……
:
ミサキ:「え……?こんな夜に、誰かな…?はーい…」
ハチ:「み、ミサキちゃん…僕だよ、…ハチ。」
ミサキ:「えっ…?は、ハチくん…?どうしたの?」
:扉を開けるミサキに、スタンガンを押し当てるハチ。
ミサキ:「あッ……………」
ハチ:「…あッ、あっ、ぁアッハハハハハハハハ!!!…一緒に、俺と…遊ぼうよ…!!」
:
ハチ:「ミサキちゃん。」
星降るよるに。【2人台本】
星降るよるに。
少年
おとうさんにいじめられている男の子。
いもうともいる。
流星群にお願い事をしにいく。
お姉さん
通りすがりのせくしーなお姉さん。
ワルプルギスナハトと兼役です。
少年:ううっ…ひくっ…ぅ……
お姉さん:どうしたんだい、坊や。
少年:…だ、だれ…?
お姉さん:お姉さんは、通りすがりのお姉さんさ。君みたいなかっこいい男の子に、涙は似合わないよ。…よかったら、お姉さんになんで悲しいのか、泣いているのか…聴かせて。
少年:…あのね……おとうさんが…かぞくをいじめるの
お姉さん:おとうさんが?……君も、全身に傷を負っているね…。
少年:やさしかったおかあさんは、むかしにしんじゃって……おとうさんは、おかあさんがいなくなると、すごく、ぼくといもうとに、おこるようになった…
お姉さん:君の妹まで、いじめられているのかい?
少年:うん…そうなの。 それでね、きょうは流星群のよるって聞いて…おとうさんが町でお酒を飲んでいるあいだに、お願い事をしにきたの。
お姉さん:なんていう…お願い事?
少年:『おとうさんを ころして』…って。
お姉さん:……(すごく悲しそうに)
少年:…でも……だめだよね。…せっかくこんなに…きれいな…よるなのに。
お姉さん:………君の願い事は、きっと叶うよ。
少年:……ほんとう…?
お姉さん:ああ…ほんとうさ。お姉さんが太鼓判おしたげるよ。お父さんは死んで、君と妹はいっしょに仲良く幸せに暮らせる。
少年:うん…わかった!!ありがとう、お姉さん!!
お姉さん:さあ、だからもう自分の寝床におかえり。……夜が君を 呑み込む前に。(少し怖い感じで)
少年:うん!…ばいばい!お姉さん!!
お姉さん:気をつけてお帰りよー!!
(暫く間を開けて)
ワルプルギスナハト:さて……今日も迷える仔羊のお願い事を…聴いてあげようね。
ワルプルギスナハト:『夜は呑む。夜は呑む。
芯まで甘い魂を………星降るよるに。』
ワルプルギスナハト:…嗚呼……美味しい。舌が震えるほど甘くて…蕩けそう……。(悦に浸り)
ワルプルギスナハト:……私は、流星に願う哀れな人々の元に…赴き、願いを聞こう。
ワルプルギスナハト:だって……誰かに恨み尽くされるような悪虐な魂ほど……魔女にとっては至高の美食なのだから。(悦に浸りながら)
ナレーション:流星群の夜、お願い事をすると、魔女が叶えてくれる。
でも、そんじょそこらのお願いはまったく叶えてはくれない。
叶えてくれるのはそう…甘い魂を呼ぶ願いだけ。
そんな噂が町に流れるのは、もう暫くの、よるのあと。……